フィンランドがNATOに正式に加盟、スウェーデンはトルコとの関係がさらに悪化か

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フィンランドは4月4日、北大西洋条約機構(NATO)に加盟した。加盟国は31ヵ国となった。ブリュッセルのNATO本部で開催された加盟式典にはフィンランドのニーニスト大統領と、ブリンケン米国務長官をはじめとする既存加盟国の外相が出席した。なお、4月4日はNATOの設立(1949年4月4日)記念日でもあり、ストルテンベルグ事務総長は歴史的な日だと強調した。
フィンランドは20世紀に2度にわたり旧ソ連による侵攻を受けた歴史があるが、冷戦終了後も中立を維持し、欧州連合(EU)には加盟したが、NATOには加盟していなかった。しかし2022年のロシアによるウクライナ侵攻を機にロシアの脅威に対する危機感を強め、スウェーデンとともにNATOに加盟を申請していた。フィンランドは隣接するロシアと長い国境を共有し、軍備も充実しているため、NATOの東進を防ぐことを課題としてきたプーチン大統領にとって、フィンランドのNATO加盟は戦略的な失策だと受け止められている。ロシアのペスコフ大統領報道官は3日、フィンランドのNATO加盟を、ロシアの安全と国益に対する攻撃だと形容し、戦術的および戦略的な対抗策を講じざるを得ないと警告した。
スウェーデンの加盟については、トルコとハンガリーが承認に難色を示しているが、ストルテンベルグ事務総長とニーニスト大統領は両国に対してスウェーデンの加盟承認を呼びかけ続ける意向を表明した。
なお、スウェーデンとトルコの間では、トルコがテロリストと認定するクルド人活動家の引き渡しをめぐる対立のほかに、イスラム教の扱いをめぐる対立もある。スウェーデンでコーラン(クルアーン)焚書を伴う反トルコ抗議行動が1月に実施されたこともトルコの逆鱗に触れて外交問題に発展している。スウェーデンの警察はその後、コーラン焚書がテロ襲撃を招く恐れがあるとして、これを禁止してきたが、表現の自由を侵害するものだとの異議申し立てがあり、4月4日、行政控訴院は、焚書禁止には十分な根拠がないとの理由で、これを廃止する決定を下した。今後の抗議行動で焚書が行われれば、トルコとの関係はいっそう緊張を強め、NATO加盟の実現が遅れるリスクがあるとみられている。