マクロン大統領、国防予算の大幅増額を予告

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マクロン大統領は20日、軍関係者らを集めて新年恒例の訓示を行った。国防予算の大幅増額を予告した。
これによると、2024-30年の7年間を対象とする次期多年次防衛計画法における予算は総額で4000億ユーロとなり、2019-25年を対象とする現行法に比べて1000億ユーロの増額となる。軍事支出総額は4130億ユーロとさらに大きく、これは、予算外の収入(インフラや周波数の譲渡収入を充当)を繰り入れることで達成される。政府は、国防予算の対GDP比を2025年に2%まで引き上げることを約束していたが、予算増額により前倒しで達成する構え。
発表済みの基本方針と支出項目はすべて維持される。核抑止力の近代化、ラファール戦闘機への更新、装甲車の刷新(「スコルピオン」計画)、シャルルドゴールを後継する次世代空母の建造などの計画はいずれも維持された。
ウクライナ危機を含めた新たな時代に対応する目的で、大統領は新たな重点項目を設定。まず、情報戦の重要性が高まっていることを踏まえて、軍の情報機関(DRM、DRSD)の予算を2倍に増やし、新技術の導入を進めると説明した。また、ウクライナにおける戦争の教訓を踏まえて、防空システムの重要性が高まったとし、その予算を50%増額すると予告した。ドローン対策、深海の監視(重要インフラ防衛)、宇宙戦も重要項目として挙げた。また、国防の耐性強化を目的に、予備役(現在は4万人)の2倍増を目指すことも確認した。多年次防衛計画法案は近く提出され、今夏までの可決成立を目指す。