欧州中銀(ECB)、仏BNPパリバ銀行に自己資本増強を指示

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欧州中銀(ECB)はこのほど、監督対象のユーロ圏の大手銀行の年次審査・評価プロセス(SREP)の一環で、仏BNPパリバに対して自己資本の増強を指示した。2023年1月1日付以降に、9.56%以上の自己資本比率(CET1)の確保を求めた。この最低限は現時点では9.27%に設定されていた。また、Tier2(補完的項目)について、最低限を1.32%から1.57%に引き上げた。こちらも1月1日付で適用される。BNPパリバはこの決定について、自行のCET1が9月末日時点で12.1%に上ることを挙げて、指示された自己資本の増強は既に達成されていることを強調した。
BNPパリバは、資産額と時価総額で共に欧州最大手の銀行。自己資本増強の指示はほかに、イタリアのウニクレディトが受けており、同行の場合は、CET1の最低限が9.03%から9.20%へ引き上げられた。半面、仏大手銀行のクレディアグリコル・グループと、その上場主体のクレディアグリコルSAは、要件が据え置かれた(CET1の最低限が前者で8.9%、後者で7.9%、など)。
欧州中銀がどのような根拠で自己資本増強の指示を出したのかは明らかではない。欧州中銀はこれまで、経済環境の不透明感が高まる中で、市中銀行に対して過度の楽観主義に陥らないよう、事あるごとに戒めていた。プライベートエクイティ案件などへのレバレッジの高い融資についても慎重になるよう求めていた。
これとは別に、フランスでは、カウンターシクリカル資本バッファーの比率引き上げ(0.5%から1.0%へ)が、来年年頭に施行されることになっている。銀行への規制は厳しさを増している。