ルモンド紙によると、警察は15日、CPF(トレーニング個別アカウント)を巡る詐欺の容疑で、パリとトゥールーズで一斉摘発を行った。2件の捜査の枠内で、合計で14人を逮捕した。
CPFは、従業員が年功と共に蓄積するトレーニングを受ける権利の行使を容易にする目的で2019年に導入された制度で、既存の制度DIFを引き継ぐ形で導入された。従業員が自らトレーニングを選んで受けることができるのが新機軸だったが、それを悪用した詐欺事件が増え、社会問題と化していた。よくある手口は、電話勧誘により、内実のないトレーニングを受けさせるというもので、スマホや商品券など豪華な景品を用意して契約させることも多い。詐欺団は、儲けの一部を従業員に分け与える形でリクルートする形になり、詐欺で損をするのは、まずは同制度において企業から集めた拠出金や公的資金をトレーニング業者に支払う業務を担う政府系金融機関CDC(預金供託金庫)であり、より根源的には拠出金や公的資金の乱費という被害が生じる。今回摘発された事件では、個人情報を詐取して、勝手にCPFの権利を行使するという手口もみられ、これは直接に従業員が損害を被ることになる。被害総額は850万ユーロに上るという。
いずれの場合でも、詐欺団は、トレーニング業者と結託する必要があるが、今回の事件では、詐欺団が自ら「認証機関」を設立するという新展開があった。詐欺が多いことから、当局は2021年より、認証機関による認証を得た業者のみCPFの取り扱いを認める形に制度を改めたが、その要となる認証機関の設立に詐欺団はあっさり成功し、300社に上る偽業者にお墨付きを与えていたのだという。監督体制の不備を改めて浮き彫りとする事件となった。