シェル、仏ブルターニュ沖の浮体式洋上風力発電パイロット計画を断念

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェストエネルギー・環境レポート

英石油大手シェルが率いるコンソーシアムは11月15日、仏ブルターニュ南沖の浮体式洋上風力発電パイロット施設の整備計画を断念すると発表した。
このパイロット施設は、仏政府が入札を経て2016年に事業者を決めた4件のプロジェクトのうちの一つで、残り3つは地中海に位置し、大西洋のプロジェクトはこの一つだけだった。最初は仏Eolfi社(ベオリア子会社)がプロジェクトを獲得したが、同社を2019年に買収したシェルがプロジェクトを引き継いでいた。コンソーシアムには、政府系金融機関CDC(預金供託金庫)と中国のCGN(中国広核集団)が参加。投資額は3億ユーロを予定。6MWの発電機を設置し、30MWの合計容量を実現する計画だった。当初予定では2022年の運転開始を目指していた。ただ、発電機を開発する予定だった米GEが撤退を決定。コンソーシアムは代わりにベオリアを選んだが、その後、浮体式構造を開発する予定だった仏ナバル・エネルジー(ナバル・グループ傘下)も、伊サイペムによる買収が決まったのを機に2021年に撤退し、計画が宙に浮いていた。サプライチェーンの混乱や足元のインフレ亢進が計画にとどめをさしたものと考えられる。
パイロット・プロジェクトに続いて、仏政府はその後、本格的な規模の浮体式洋上風力発電プロジェクトの入札に着手している。シェルはこちらについては参入する意志を変えておらず、ブルターニュ沖2件と地中海の2件への応札を維持している。とはいえ、コスト上昇を反映して提示価格は軒並み高めとなることが予想され、2023年半ば以降に決定される見通しの入札の行方は予断を許さない。