ルノー・グループはTech Industry Daysの機会に、2017年以来、スタートアップ企業Shippeoの協力を得て自社内開発を進めてきた産業用メタバースを披露した。世界35ヵ所の工場のうちの22工場において8500台の主要機器をネットワークに接続し、日々10億件の情報を収集・処理する工場のデジタルツインを構築した。メタバースを用いることで、設備の経年劣化や不具合や欠如などを把握して即座に対処でき、在庫の可視化、コストの削減、生産期間の短縮が可能になり、それに応じて顧客満足度も改善するという。
エリック・マルシオル産業4.0デジタルオフィサーは「メタバースにより、部品在庫に生産を適合させることができ、これは部品不足が深刻な危機的時期には非常に有益だ」とし、「目的は工場の生産効率を高め、自動車の生産台数を増やして、雇用を維持することだ」と説明した。
産業用メタバースを構築したことで、ルノー・グループは年間に8000万ユーロのコスト節減を実現した。今後はこれを世界35工場の全てにおいて展開し、年間2億ユーロのコスト節減を実現することを目指しており、それには2万2000台をネットワークに接続する必要がある。なおフランソワ・ラヴェルノスCIOは、ルノーの狙いはメタバース技術自体をさらに展開することではなく、メタバースを活用して2025年までに競争力を強化することにあると強調した。
ただし、ルノーは自社内で開発した産業用メタバースのソリューションを商業化する試みも進めており、6月にIT大手アトスと提携して、産業データ収集、デジタル化、産業4.0移行のノウハウを販売し始めた。すでに最初の契約獲得を交渉中という。2027年までに18件の契約を獲得して、4900万ユーロの売上を確保することが当面の目標となる。
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