パリ市内の携帯基地局設置スペース、米社による買収を仏当局が警戒

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米フェニックス・タワー・インターナショナル社がフランスで買収を予定する電波用鉄塔等の資産について、仏当局が警戒を強めている。ルモンド紙が25日付で報じた。
フェニックスは米投資ファンドのブラックロックが過半数資本を有する鉄塔資産運用会社。スペイン同業のセルネックス社より、フランスの1226ヵ所の鉄塔等資産を買収する計画だが、その中に含まれているパリ市内の約600ヵ所の屋上設置スペースが問題になっている。パリ市内は官公庁の周辺など国家機密上重要な場所も多い。携帯基地局を収容する屋上スペースの付近にIMSIキャッチャーのような通信傍受デバイスを設置すれば、容易にゾーン内の携帯端末の通信(通話、SMS、データ通信等)を監視できる。フランスでは、米国情報機関の手により、米国大使館の屋上にそのようなデバイスが設置され、至近距離にある大統領府の通信監視を企てたという前例があり(「ウィキリークス」事件の暴露情報などで判明)、米社が屋上設置スペースへのアクセスを得ることに対する警戒感が強いという。仏政府には、国家安全保障にかかわる買収案件を禁止する権限があり、仏当局機関はルモンド紙の取材に対して、この買収案件を注意深く検討しているとコメント。リスクを評価し、必要な補正措置を定めるべく検討中だともコメントしたが、詳細は明らかにしていない。