9月30日発表のINSEE速報によると、9月のフランスのインフレ率(前年同月比)は5.6%となり、前月の5.9%を下回った。インフレ率は7月の6.1%をピークに、これで2ヵ月連続で低下した。欧州連合(EU)標準のインフレ率は9月に6.2%だった。
インフレ率の減速は、政府が導入したエネルギー価格抑制策の影響が大きい。自動車燃料価格の割引制度(9月より1リットル当たり18ユーロセントから30ユーロセントへ増強)の効果が特に大きい。電力・ガス価格の抑制措置とあわせて、これらの措置は9月のインフレ率を本来より2.5ポイント押し下げたという。エネルギー価格の上昇率(前年同月比)は9月に17.8%となり、前月の22.7%を下回った。サービス料金の上昇率も、前月の3.9%から3.2%へ後退したが、工業製品の価格上昇率は3.5%から3.6%へ上昇。また、食料品の価格上昇は加速しており、上昇率は前月の7.9%から9.9%にまで達した。
自動車燃料の割引制度は年末にかけて規模が縮小され、2023年年頭には廃止されることになっている。INSEEは、年末にかけてインフレが再び加速し、12月時点で6.6%に達すると予想している。
なお、28日発表の9月の家計景況感総合指数は79ポイントとなり、前月から3ポイントの低下を記録。2013年8月以来で最低の水準まで下がっている。また、30日発表の8月の家計消費支出は前月並みで推移。食料品に限ると前月比1.1%の減少を記録しており、エネルギーも0.4%の減少が続いた。直近3ヵ月をその前の3ヵ月と比べた前の期比では、家計消費支出は0.5%の減少を記録。同前年同期比では3.8%の減少を記録した。