欧州単一特許、2023年春に導入へ

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欧州特許庁(EPO)は9月28日、近く導入される欧州単一特許制度の施行に関する各国の措置をまとめた小冊子を公表した。欧州単一特許の導入により、企業は費用の軽減などが期待できる。
欧州単一特許制度の導入に関する条約には17ヵ国が批准しており、2023年春に予定される制度の発足時にこれら諸国において導入される。スペインとクロアチアは不参加を決めている。
欧州単一特許では、従来のように、特許による保護を望むすべての国で手続きを行う必要がなくなり、すべての参加国において特許が同等の効力を有することになる。手続きの迅速化と費用の低下が期待できる。また、単一特許に関する係争を裁く単一特許裁判所が設立され(本部はパリに置かれる)、この裁判所が下した特許取り消しや特許侵害の賠償決定等は、参加国全域に効果が及ぶことになる。この点でも、各国での提訴を行う場合に比べて費用は大きく削減される。
単一特許が導入されるまでの移行措置では、従来の欧州特許の単一特許への書き換えや、提出済みの特許出願の切り替え等を円滑化するための規定が設けられた。
EPOの依頼でなされた調査によると、欧州単一特許の導入により、通商が2%、対EUの直接投資が15%、それぞれ拡大する効果が期待できるという。