ワイン用ぶどうの収穫が好調、品質面でも当たり年か

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今年のワイン用ぶどうの収穫は順調で、業界では2022年が品質の点でも当たり年になると期待している。
ブルゴーニュ地方では、10年間の年間平均生産量が145万ヘクトリットルとなっているが、今年は平均を上回る見通しとなっている。ほかの産地でも状況は似通っている。
前年の2021年には、遅霜の影響と、湿度の高さによるべと病の流行などが原因で、収穫量が大きく後退していた。今年は温暖化の影響が目に見える形で現れ、今夏にかけて干ばつと猛暑に襲われたが、ぶどうは元来、乾燥には強い作物であり、収穫直前の高温も作物に有利に働いた。ボルドー地方では、10年間の平均比で、赤ワイン向けぶどうの収穫量は5-10%低い程度と、堅実な収穫量が見込まれている。ボルドーの場合は、夏季に大規模な山火事が発生し、ぶどうの品質の低下に懸念があったが、風向きによりぶどう畑が煙に包まれることは回避され、品質面でも良好な収穫となることが期待されている。ワイン産地では、ボルドーを含む南西地方の全体で平年比で30%近くの減産になる見込みだが、それを除くと、不作だった前年比で12-18%の増加が見込めるという。
ワイン業界は2020年以来で混乱が続いている。2020年には、新型コロナウイルス危機のために需要の急減に見舞われ、続く2021年には需要が大きく回復する一方で不作が目立ち、在庫を取り崩す対応を迫られた。ブルゴーニュの場合は、供給が追い付かずに米国市場で10%の販売減を余儀なくされるなど苦戦した。今年の順調な収穫は、シャンパンを含めて、高品質の製品の在庫を再構築する機会を業界に与えるものと期待されている。