政府は1日、各種社会保障手当の自動給付の試験導入を2023年年頭にも行うと予告した。10程度の地域が試験導入を名乗り出ているといい、生活保障手当RSA、プリームダクティビテ(低賃金の勤労所得者向けの収入補完手当)、住宅補助(APL)の3種の給付が手始めに対象になるという。
所得税源泉徴収と同じ考え方で、各種手当の受給資格者を当局側が割り出し、本人の申請を経ずに自動的に給付を行うという新制度が試験導入される。2018年の調査によると、RSAの受給資格がある人のうち、3分の1近くは申請をしていないために支給を受けていないといい、こうした支援の取りこぼしを防ぐ目的から、自動給付の新制度の準備が進められている。新制度は、受給資格がない者による詐取の予防にも効果的であるとされる。ただ、その実現のためには、当局が様々なデータを吸い上げて処理する必要が生じるため、試験導入では当該地域の関係各当局の間の協力関係の構築が課題となる。
政府はこれと並行して、身障者自立手当(AAH)の制度改正(配偶者の所得水準に応じた支給額の減額を廃止する)を進めている。他方、ベーシックインカム制度を念頭に置いた生活保障手当の制度改革は2018年にマクロン大統領により予告されたものの、具体化は遅れている。