仏下院、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟を批准

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仏下院は2日、スウェーデン及びフィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟を批准した。投票においては、左派連合NUPESを構成する政党間で足並みの乱れが目立った。
第2次大戦後に中立を守ってきた北欧の両国は、ロシアのウクライナ侵攻を契機に軌道を修正し、NATO加盟を選択した。現在、NATO加盟各国が両国の加盟を批准する手続きを進めている。フランス下院は、賛成209、反対46と、大幅な賛成多数で批准を決めた。投票の際に、与党連合と、保守野党の共和党は、ほぼ全員が賛成票を投じた。極右RNは投票を棄権した。左派連合NUPESでは、主軸の「不服従のフランス(LFI)」は投票に参加した43人の全員が反対票を投じた。共産党も、3人が反対し、2人が棄権した。逆に、社会党と環境政党EELVは、投票に参加した全員(前者が14人、後者が11人)が賛成票を投じた。
LFIのサントゥル議員は、審議において、「加盟申請は、感情的になり、さらには恐怖に駆られて性急に進められた。国際関係の過度な両極化を助長するものであり、それは、フランスの利益にも、また、スウェーデンやフィンランドの利益にもならない」と主張し、反対を正当化した。逆に社会党のダビッド議員は、NATOに過剰に肩入れするというわけではないが、NATOに加盟することを望む両国の意志は、今や国民が深く望むところに由来しており、地政学的な状況も考え合わせると、早期の批准は必要であると考える、と述べて、批准に賛意を表明した。
LFIを率いるメランション氏(大統領選挙における常連候補)は、非同盟を掲げ、侵攻前には明確にロシアの立場に理解を示し、NATOに対する批判的な姿勢も示していた。加盟反対を貫くLFIの議員らに対して、社会党とEELVは、親欧州派という立場などの点で、LFIとは相容れない部分が多く、そうした相違点が今回の投票で表面化した。