暗号資産への投資をアドバイスしていたユーチューバーが視聴者の資金を持ち逃げしていたことが分かった。パリ地検が捜査を開始した。被害総額は300万ユーロに上るとみられている。
このユーチューバー「Crypto Gouv」は、自らのチャンネルを通じて暗号資産投資のチュートリアルを公表するなどしていた。登録者数は1万人近くにも上っていたとみられる。この人物は、視聴者とメッセンジャーアプリ(DiscordとTelegram)を通じて交流し、仮想通貨やNFTの投資話をもちかけて資金を預かっていた。ところが、7月9日になり、チャンネルを通じて新たな動画を公表。その中で、すべては詐欺であると自ら明かし、チャンネルを閉鎖して資金ごと逃走した。なお、顔出しはしておらず、公表されていた写真もフリー画像であることが判明しており、その正体は明らかになっていない。
被害者のうちこれまでに40人程度が刑事告訴を行っており、パリ地検は7月半ばに捜査を開始したという。被害者らは数百ユーロから数千ユーロをCrypto Gouvに渡していた。被害者の数は300人に達するとみられており、被害総額は300万ユーロから400万ユーロに上るとの見方もある。
なお、フランスでAMF(金融市場監督機関)が2021年に扱った1964件の係争のうち、500件近くが暗号資産絡みの投資を対象としており、前年に比べてその比重は大きく増えている。外国籍のプラットフォームや、まったく架空のプラットフォームによる詐欺行為も目立っている。