決済手段を狙った詐欺、2021年に減少

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

フランス中銀が22日に発表した集計によると、2021年になされた決済数は284億件、決済総額は422億400万ユーロとなり、前年比でいずれも増加した。その一方で、決済手段を狙った詐欺の件数は750万件、被害総額は12億4000万ユーロとなり、前年の780万件・12億8000万ユーロを下回った。
決済手段別では、カードが不正件数のうち92.2%(支払いが90.5%、現金引き出しが1.7%)を占めて最も多かった。この割合は、前年の97%に比べると低下した。半面、被害額では、カードは全体の37.4%(支払いが33.9%、現金引き出しが3.5%)となっており、割合ははるかに小さい。逆に、小切手は37.4%、送金が23.1%をそれぞれ占めているが、不正件数に占める割合は、前者が3.8%、後者が0.6%とごくわずかで、これは、これらの手段においては、極めて規模が大きい詐欺が多いことを示している。
詐欺が相対的に減少したのは、決済の安全性向上のための措置が導入された成果と考えられる。「強い認証」がオンライン決済において義務付けられ、決済完了に当たっては、スマホ経由の認証と暗証番号など2つ以上の認証手段を用いることが必要になった。ただし、こうした強化をかいくぐろうとする手口も目立つようになっており、特に、銀行の担当者を装って決済を完了するよう唆す詐欺が問題視されている。電話番号を偽装表示するいわゆるスプーフィングにより被害者を信用させるといった手段も用いられる。最近では、消費者保護団体から、こうした手口の詐欺の被害者に対して、銀行側が補償を渋るケースが増えているとの批判の声も上がっており、中銀は対応と規則を明確化すると予告した。