フランス中銀、デジタルユーロの試験導入新フェーズを開始へ

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フランス中銀のビルロワドガロー総裁はこのほど、パリ・ユーロプラス(パリ金融市場の振興を目的とする団体)が主催したフォーラムに出席した機会に、デジタルユーロの試験導入の第2フェーズを年内に開始すると予告した。銀行間の取引に試験導入する。
デジタルユーロの導入構想は、欧州中銀(ECB)が2020年に着手したもので、フランス中銀は特に積極的に準備作業に加わっている。暗号資産に対抗し、欧州市民に従来の通貨を補完するデジタル決済手段を提供することを目的とした構想だが、詳細はまだ固まっていない。ビルロワドガロー総裁は、年内にフランス中銀が開始する第2フェーズにおいては、ブロックチェーンによる資産トークン化技術の試験と、各国中銀の様々なデジタル通貨との越境間決済のプラットフォームの試験が、市中銀行の協力を得て行われる。2023年までの試験運用を通じて、存続可能なプロトタイプを完成させることを目指す。
銀行間取引における利用は目前の段階にまで来ているが、個人による利用の展望は、まだ構想が固まっていないこともあり、不明な点も多い。銀行側にも、どのような役割を担うことになるのかがわからず、不安の声もある。ビルロワドガロー総裁は、新たな時代において決済手段へのアクセスの確保を保障する上でデジタルユーロには重要性があるとしつつ、デジタルユーロの導入は銀行の相対的な役割の低下をもたらすものではないとも強調した。