パリ同時多発テロ裁判:アブデスラム被告人に厳しい判決

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

2015年11月13日に発生したパリ同時多発テロの裁判で、29日に判決が言い渡された。20人の被告人全員に有罪判決が言い渡された。
パリ同時多発テロでは、コンサート会場バタクランを含む数ヵ所がテロ攻撃の対象となり、合計で130人が死亡、負傷者は413人に上った。裁判はパリで10ヵ月に渡り行われた。実行犯グループの唯一の生き残りであるサラ・アブデスラム被告人には、求刑と同じく、減刑不可の終身刑という最高刑が言い渡された。被告人は、自爆テロ用のベストを作動せず、自ら手を下すのを思いとどまったと主張していたが、裁判所は、故障のために作動できなかったと判断、また、テロ計画の準備に能動的に関わっており、一連のテロ事件の共犯であると認めた。このほか、アブデスラム被告人の友人で、後のブリュッセルにおけるテロ事件にも関与したモハメド・アブリニ被告人も、求刑に沿って、減刑不可部分が22年間の終身刑判決を受けた。事件に関係した「イスラム国」幹部の5人も欠席のままで減刑不可の終身刑判決を受けた。5人はシリア国内で死亡したものとみられているが、死亡が確認されておらず、訴追が継続されていた。
これ以外の被告人は、いずれも有罪判決を受けたが、求刑よりは量刑が低かった。最も量刑が軽かったのが禁固2年で、20人の被告人のうち、裁判所がテロへの関与を認定しなかったのは、偽造身分証の制作に協力した被告人1名のみだった。