欧州では夏の到来を控えて、新型コロナウイルスの感染が再拡大している。オミクロン株の派生型である「BA.4」と「BA.5」が原因で、特に「BA.5」の感染拡大が著しい。
5月に感染の再拡大が観察されたポルトガルでは、6月初めに1日当たりの新規感染者数が3万人近くまで増加したが、その後は縮小に向かっている。英国では、1日当たりの新規感染者数が2020年の新型コロナウイルス危機の開始当初に近い水準に戻っている。イタリアでも6月18-19日に24時間当たりの新規感染者数が3万人を超え、直近1週間で6割増を記録した。フランスやドイツでも感染の再拡大が起きている。
フランスでは6月20-21日に24時間当たりで9万5217人の新規感染者を記録し、21-22日にも7万7967人と、1週間前と比べ5割増を記録した。直近7日間の平均では、1日当たり平均で54000人超の新規感染が起きている。政府は4回目のワクチン接種を促しているが、対象者の4分の1程度しか接種を終えていない。
感染再拡大を受けて、デンマークでもフレデリクセン首相が22日、50才以上の高齢者と基礎疾患者に対して4回目のワクチン接種を提案した。最も脆弱な人々に対しては6月27日の週から、50才以上には10月1日から接種を開始する。同国では62%の住民が3回目の接種を済ませており、4月末からワクチン接種はいったん休止していた。同国の新規感染では「BA.5」が6割近くを占めている。なお、政府は2月1日に、マスク着用などを含む新型コロナウイルス規制を全廃しており、これを復活させることは当面予定していない。