製薬大手アストラゼネカ(英国)はこのほど、フランスで医療データのプラットフォーム「アゴラ・サンテ」を立ち上げる。仏ドカポスト(郵便ラポスト子会社)との合弁事業として、3年前から設立の準備を進めていた。当局機関のCNIL(個人情報保護機関)から設立の許可を取得した。
フランスで民間主導の医療データのプラットフォームが開設されるのはこれが初めて。ドカポストは技術的な側面を担当し、収集したデータを匿名化の上で、フランス国内のラポストが所有のデータセンター内に保管する。アストラゼネカは手始めに、自社の3種の医薬品(腎臓がん治療薬、乳がん治療薬、新型コロナウイルス感染症治療薬)を処方された患者の医療データを持ち寄る。IoT型の機器を通じて集めた実生活における医療データや、臨床試験のデータをビッグデータの手法で再活用するプラットフォームとなることを目指す。もちろん、データの提供は患者各人の選択に委ねられる。
アストラゼネカとドカポストからなるコンソーシアムは、新たな企業の合流を受け入れる計画。データはサーバーに格納され、利用はできるが持ち出しはできない仕様となる。公共部門が運営する最大の医療データベースであるSNDSとの相互接続に向けた準備も進められており、12-18ヵ月後の実現を目指している。