オーストラリア政府、潜水艦契約取り消しのナバル・グループと和解

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オーストラリアのアルバニージー首相は11日、フランスへの攻撃型潜水艦の発注を取り消した件で、発注先である仏ナバル・グループとの間で合意が成立したと発表した。5億5500万ユーロの残金を支払い、契約を解消することを取り決めたと説明した。
オーストラリアは2016年に、バラクーダ級潜水艦12隻をナバル・グループへ発注していたが、モリソン前内閣は2021年に契約を破棄することを決定。英米との協力により原子力潜水艦を導入する方針に切り替えたとの説明がなされ、フランスとオーストラリアの間の関係悪化を招いていた。数ヵ月間にわたる交渉を経て、政権交代により先に発足したアルバニージー内閣は、多額の残金を支払うことを受け入れて、フランスとの関係を良好に保つことを選択した。契約は560億ユーロの規模で、設計段階の作業等で、これまでにナバル・グループは既に8億4000万ユーロを受け取っている。これに加えて、オーストラリア政府はさらに5億5500万ユーロを支払うことを受け入れた。ナバル・グループ側は、この金額について、補償金ではなく、契約打ち切りに伴う費用に相当すると説明。両国のサプライヤーや下請け業者の権利を擁護できたとも説明している。オーストラリア側では、これらの支払いを含めて契約破棄に伴い生じた損失を34億オーストラリアドル(22億ユーロ)に上ると説明している。
マクロン仏大統領とアルバニージー首相は去る5月26日に会談し、「インド太平洋地域の戦略的課題などに対応するため、信頼関係に基づいた二国間関係を再構築する」ことで合意していた。アルバニージー首相は、フランスを太平洋地域における重要な同盟国と位置付ける姿勢を再確認し、マクロン大統領とできる限り早くに会談することを望むと言明した。