パリ市内で警察官による発砲事件、政治的な論争に

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パリ市内で4日に警官らが乗用車に発砲し、乗っていた女性1人が死亡する事件が発生した。総選挙を目前に控えて、この問題は政治的な議論に発展している。
事件は18区内で発生。自転車で警邏中の3人の警察官が、シートベルトをしていない同乗者がいる自動車を見つけて接近した。自動車は急発進して逃走しようとしたため、警官が自動車に発砲、運転していた男性が負傷し、助手席に乗っていた女性が死亡した。警官側は、自らの方に自動車が進んできたため、正当防衛で発砲したと主張しているが、当局は3人の警察官を逮捕の上で取り調べを進めている。運転していた男性は多数の犯罪歴があり、免許は失効中で無免許にて運転していた。それが逃亡を企てた原因だったとも考えられる。
左派連合NUPESの主軸である「不服従のフランス(LFI)」を率いるメランション氏は、「停止命令に従わなかっただけで死刑に処せられる」のは警察の横暴であるとツイート。「恥を知れ」などと厳しい言葉で警察と政府を批判した。政府はこれに対して、厳しい状況で勤務する警察官たちを擁護した上で、この事件でも真相と責任を究明するための調査が行われているとして、批判に応酬した。極右RNはメランション氏を激しく批判し、警察官の武器の使用について、正当防衛推定(反対の証拠がない限り正当防衛とみなす)を導入すべきだとの主張を展開した。