ボルヌ新内閣の閣僚名簿が20日に発表された。首相を含めて総勢28人の比較的に小型の内閣がひとまず発足した。男女比は歴代2人目の女性首相となったボルヌ首相を含めてちょうど半数となった。閣僚の引継ぎは21日までに終了し、初閣議は23日に召集される。
総勢28人のうち、前カステックス内閣の閣僚が、ボルヌ首相を含めて14人と半数を数える。政権運営の継続性と安定性を示しつつ、新たな人材を起用して新鮮さを打ち出すことも狙った折衷的な人事となった。
経済相、内相、法相はそのまま留任。マクロン大統領が示した重点項目の一つである気候変動対策を担う2人の担当閣僚には、公務員相を務めていたドモンシャラン氏と産業担当相を務めていたパニエリュナシェ氏の女性2人が起用された。やはり、大統領の公約である完全雇用の実現に向けては、予算担当相を務めていたデュソプト氏が労相に起用された。予算担当相の後任には、政府報道官を務めていたアタル氏が抜擢された。アタル氏は33才で、ボルヌ内閣で最年少の大臣となった。
新入閣者では、まず、右派系の政治家・外交官であるカトリーヌ・コロンナ氏が外相に起用された。シラク政権で1995年から2004年まで大統領府報道官を務め、後にドビルパン内閣で欧州担当相を務めた(2005-07年)。女性が外相に就任するのは、3ヵ月間と短期間で辞任に追い込まれたアリオマリ外相(2010-11年)に次いでこれが2人目。教育相には黒人のパップ・ンディアイ氏が起用された。ンディアイ氏は米国のマイノリティの歴史を専門とする大学教授で、2021年以来、パリの移民史博物館(ポルトドレ)の館長を務めている。同氏の教育相起用に関しては、極右勢力を中心として、コミュニティ中心主義を学校教育に持ち込む人事だとして批判する声が上がっている。このほか、連帯相には、数日前まで保守野党「共和党」の下院議員団団長を務めていたアバド氏が起用された。共和党からの人材の切り崩しを象徴する人事となった。アバド氏は障害者でもあり、障害者を含む社会問題の担当大臣に起用された。ダイバーシティをアピールする人事でもある。ただし、同相については、2人の女性が性的暴行で被害届を出していることが報じられ、物議を醸している。ボルヌ首相は22日の時点で、過去の事件が不起訴になったことしか知らなかったとし、新たな要素があるならしかるべき対処をすると言明した。アバド氏本人は疑惑を全面的に否定している。
ボルヌ内閣(◆◇は男性、●〇は女性、白抜きは新入閣)
◆経済・財務・産業及びデジタル主権相:ブリュノ・ルメール
◆内相:ジェラルド・ダルマナン
〇欧州・外務相:カトリーヌ・コロンナ
◆法相:エリック・デュポンモレティ
●エコロジー移行・国土整備相:アメリー・ドモンシャラン
◇教育・若年相:パップ・ンディアイ
◆軍隊相:セバスチャン・ルコルニュ
●保健・予防相:ブリジット・ブルギニョン
◆労働・完全雇用・社会復帰相:オリビエ・デュソプト
◇連帯・自立・障害者相:ダミアン・アバド
〇高等教育・研究相:シルビー・ルタイヨー
◆農業・食糧主権相:マルク・フェスノー
◇改革・公務員相:スタニスラス・ゲリニ
〇海外相:ヤエル・ブラウンビベ
〇文化相:リマ・アブドゥル・マラク
●エネルギー移行相:アニェス・パニエリュナシェ
〇スポーツ・五輪相:アメリー・ウデアカステラ
担当相
◆議会関係・民主制度担当相:オリビエ・ベラン
〇男女平等・ダイバーシティ・機会平等担当相:イザベル・ローム
◆予算担当相:ガブリエル・アタル
◇地方自治体担当相:クリストフ・ベシュ
◆貿易・誘致力担当相:フランク・リエステル
◆欧州担当相:クレマン・ボーヌ
閣外相
〇報道官:オリビア・グレゴワール
〇海洋担当閣外相:ジュスティーヌ・ベナン
〇幼少者担当相:シャルロット・コーベル
〇開発・仏語圏・国際提携担当相:クリズラ・ザカロプル