9日発表の税関統計によると、3月の仏貿易収支は124億ユーロの赤字となった。赤字幅は前月の104億ユーロを上回った。
1-3月期では、貿易赤字は311億ユーロとなり、前年同期の162億ユーロを大きく上回った。直近12ヵ月間の貿易赤字は1000億ユーロと過去最高に達している。この赤字幅は、ロシアによるウクライナ侵攻開始以前の時点で、政府が2022年通年の数字として予想していたものと一致している。ウクライナ情勢が貿易赤字の拡大を加速する要因になっているのは確かだが、それ以前から、新型コロナ危機からの回復の流れの中で貿易赤字は顕著な拡大傾向を示していた。
貿易赤字の拡大は、やはりエネルギー価格の高騰に由来するところが大きい。エネルギー製品の貿易赤字は1-3月期に前の期比で39億ユーロ増大した。農産品の輸入も6.4%増えた。同期の輸入額は全体で1702億ユーロとなり、コロナ危機前の2019年同期と比べると20%増えている。輸出額は5.3%増の1391億ユーロに上ったものの、輸出の伸びは輸入の伸びに比べて小さく、貿易赤字は膨張した。
他方、サービス収支は3月に65億ユーロ、1-3月期では160億ユーロの黒字を記録。黒字幅は増加傾向にあり、貿易赤字を一部埋め合わせる役割を果たした。