大統領選決選投票:マクロン大統領が再選決める

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大統領選挙の決選投票が24日に行われた。マクロン大統領が再選を決めた。
決選投票は5年前の前回と同じく、マクロン大統領と極右RNのマリーヌ・ルペン候補の間の争いとなった。当時マクロン大統領は初出馬・初当選で、極右候補を阻むための団結の効果もあり、66.1%という高い得票率で勝利していた。今回の選挙では、マクロン大統領は58.55%の得票率を達成、ルペン候補の41.45%を下して再選を果たした。この得票率は、投票前の世論調査により予想されたものよりわずかに高めであり、予想以上の差がついたものの、前回選挙と比べると差はかなり小さくなった。得票差は500万票強と、前回選挙に比べて半分に縮まった。1期目を終えた大統領には前回のような新鮮味はなく、強く不満を持つ層が膨らんだことを示唆している。なお、決選投票における投票率は71.99%(棄権率では28.01%)となり、5年前の前回選挙から後退し(前回の棄権率は25.4%)、決選投票としては1969年(ポンピドー大統領が当選、棄権率31.1%)に次ぐ低い数字となった。2週間前の第1回投票の73.69%にも及ばなかった。これは、マクロン大統領に不満を持ち、ルペン候補にも投票はできないと考えた人々が多く棄権したことを示唆している。ちなみに、白紙投票が占める割合は6.35%、無効投票は2.25%だった。
マクロン大統領は24日夜、支持者らを前に演説し、多くの人が極右を阻むための投票をしたことにより、再選が得られたことを意識している、と言明。棄権した人々や、怒りのためにルペン候補に投票した人々も含めて、国民の統一に努めなければならないとも述べた。その上で、人道主義と、フランスそして欧州のための野心的な道、社会とエコロジーへの配慮、労働と価値創造の道が選択されたと述べて、国民の一致団結に向けた新たな方法の下で政策を運営すると抱負を語った。
大統領は27日に再選決定後の初閣議を開くが、カステックス首相以下、現内閣が当面はそのまま残留することになるという。規定上は、2期目が正式に始まる5月13日以降には新内閣を任命する必要があり、その際に首相続投を決めることも可能ではあるが、新たな人材が登用される可能性が高いという。次期首相の人選がどうなるかが注目されている。
他方、敗北したルペン候補は、24日夜に支持者らを前に演説を行い、これまで以上の支持を集められたことを、将来に向けた希望だと評価。自らは、6月12日と19日に行われる総選挙での勝利に向けて全力を傾注すると述べた。選挙キャンペーンを自ら率いるとも述べて、総選挙で再選を目指す考えを示唆した。