極右RNのマリーヌ・ルペン候補、当選の場合の混乱は?

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

極右RNのマリーヌ・ルペン候補は、当選を果たした場合に100日間で実現するべき施策のリストを提示している。問題を引き起こさずにはいない施策が含まれている。
ルペン候補はまず、燃料、ガス、灯油、電力に係る付加価値税(VAT)を20%から5.5%に引き下げ、必需品100品目について付加価値税を撤廃すると予告している。燃料等に係る付加価値税の減税は欧州連合(EU)の現行法令に抵触する可能性が高い。のみならず、EUでは、2030年までに、気候目標にとって有害な財及びサービスに係る租税の減免措置を禁止する方針であり、ルペン候補の公約はこうした展望にも逆行する。
ルペン候補はさらに、「住居と雇用へのアクセスについて国民を優先する」方針を掲げており、フランスでの5年間の就労実績を社会給付の条件とし、1年以来就労していない外国人の滞在許可を廃止する、などと予告しているが、これらは憲法に抵触する。
ルペン候補はまた、夏までに補正予算法案を可決し、減税政策を実行すると予告しているが、そのうち、30才未満の所得税免除と、10%の賃上げの場合の社会保険料の据置(法定最低賃金の3倍まで)は、憲法評議会が、税制上の平等を著しく阻害するという理由を挙げて、違憲認定を下すのが確実視される。
ルペン候補が国民投票による改革の断行を掲げているのも、こうした制度上の制約を打破することが目的と考えられる。ルペン候補が当選した場合、市場が混乱して国債の流通利回りが急上昇するなどして、政権の運営はその面でも困難になるのは避けられない。

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