黒崎愛海さん事件裁判:セペダ被告人に禁固28年の有罪判決

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2016年12月に当時ブザンソン大学に留学していた黒崎愛海さん(当時21才)が行方不明となった事件で、ドゥー県重罪院は12日、ニコラス・セペダ被告人(31)に対して、計画殺人で禁固28年の有罪判決を言い渡した。国外退去処分をあわせて決定した。こちらは刑期終了後に適用される。
この事件では、遺体が発見されていないことが捜査における大きな障害となった。仏当局は踏み込んだ捜査の上で、セペダ被告人の本国であるチリ政府より2019年に身柄引き渡しを取り付けた。被告人は仏国内で勾留の上、今回の裁判が行われた。
セペダ被告人は日本での留学中に愛海さんと交際。愛海さんが被告人と別れてフランス留学に発った後、12月初頭にフランスに赴き、同月4日から5日の夜にかけて愛海さんの住む学生寮に一泊した。その後、愛海さんの姿を見た者はない。裁判の機会には、セペダ被告人が愛海さんに強い執着を抱いていたこと、フランスに到着し、レンタカーを借りた際に、大量の塩素系洗剤と燃料、マッチを買い入れていたこと、4日までの数日間、愛海さんの部屋をうかがう場所に不審な男性が数度にわたり佇んで写真を撮るなどしている姿が防犯カメラの映像に残されていたことなどが明らかにされた。4日から5日にかけての夜には、恐ろしい女性の悲鳴が聞こえたと学生寮の住人10人余りが証言しており、うち2人は、それより数日前に、セペダ被告人を学生寮内で目撃したと証言した。被告人が5日以降に、愛海さんのSNSのアカウントなどを操作して偽装工作をしていたことを示す証拠も提示された。被告人は一貫して犯行を否認したが、裁判所は殺害の事実と計画性を示す十分な根拠があると認めて、有罪判決を言い渡した。検察側は終身刑を求刑したが、裁判所は、それよりは軽い禁固28年という量刑を決めた。