税務当局のAI脱税調査ソリューション、誤認が多発

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート欧州デジタル情報

4日付のルパリジャン紙は、税務当局が導入した人工知能の脱税調査ソリューションの性能が不十分で、誤った課税がなされるケースが増えていると報じた。試験導入がなされた南仏ブーシュデュローヌ県では、8500程度の世帯が、プールがあるとの誤認により徴税通知を受け取ったという。
2021年初頭に導入されたグーグルとキャップジェミニによるAIソリューションの誤りが原因という。税務当局は、アクセンチュアとの契約により全国3県で同様のAIソリューションの試験を行ったが、期待した成果が得られず、今度はグーグル・キャップジェミニ組と契約を結んで、より大規模な試験を開始していた。航空写真をデータとして、課税対象であるプールの検出から始めて、将来的には、別棟住居や増築を検出できるツールを開発するのが目的だった。ただし、成果は今一つで、誤認率は30%と高く、コロナ禍の中で確認作業が十全に行えなかった影響もあり、ブーシュデュローヌ県では全部で8500程度の世帯が平均で300ユーロの不当な徴税通知を受け取ったという。課税対象となるプールには、施工工事が不要なもの(組み立て式のプールなど)は含まれないが、AIは細かい判別ができず、青色のカバーをプールと誤認するケースもあった。別棟家屋の検出に至っては誤認率が80%に上っており、物置やガレージなどを離れ屋と区別することがAIにはできないのだという。
税務当局はこの契約の金額について明らかにしていないが、労組筋では当初契約が2000万ユーロ、次段階を含めると4000万ユーロ超とする数字を示している。労組側は、職員軽視の費用の無駄遣いだと問題視している。