EUと中国の首脳会議で立場の相違が鮮明に

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欧州連合(EU)と中国は4月1日にオンラインで首脳会議を開催したが、ウクライナ危機をめぐるスタンスの相違が際立つ結果に終わった。EU側は、中国に対して、ロシアのウクライナ侵攻を支持せず、ロシアが米欧による制裁を迂回するのを支援しないように求めたが、中国側は一切言質を与えなかった。会議後の中国側の声明は「ウクライナ危機」に1回しか言及せず、その重要性を相対化する内容となっている。
これに先立ち、ロシアのラブロフ外相は3月30日に北京を訪問して、中露間の「無限大」の友好関係に関する再確認を得ていた。また4月2日の中国のメディアは、習近平政権がEUに対して、中国と対中政策に関して、米国とは異なる独立したビジョンを持つことを望んでいると報じており、対ロシアで米国と歩調を合わせるEUの姿勢を牽制する意向が透けて見える。
中国人民大学の国際関係学院の専門家によると、中国では、ウクライナ危機を、長年の間にセキュリティをめぐり溜まっていた緊張が招いた「地域紛争」であり、米国とNATOおよびEUがロシアとの間で解决すべき問題だと考える見方が主流だという。
ただし、ロシアは中国にとり戦略的パートナーであり、ウクライナ危機がEUの結束を強化する結果を招き、欧州の分断を狙う中国の試みに逆風となっている上に、中国企業も対ロシア制裁に従わざるを得ず、さらにアジア太平洋にも危機の影響が及ぶだけに、中国も静観を決め込んでいるわけではない。中国は台湾問題をはじめとするアジア太平洋での対米戦略という観点から、ウクライナ危機への対応を検討しているとみられる。