ウクライナ危機でルノー・日産・三菱自アライアンスに試練

投稿日: カテゴリー: 欧州自動車・モビリティ情報

ルノー・日産・三菱自アライアンスはゴーン事件と半導体不足に続いて、ウクライナ危機により新たな試練に直面している。ロシアによるウクライナ侵攻後のルノーの決定により、露子会社アフトワズの操業が一時停止されたことは、一見すると、アライアンスの将来に直接的な影響はなさそうに思われる。しかし、仔細に検討すると、事態はさほど簡単ではなく、ルノーと日産の均衡が崩れる可能性があることがわかる。
アライアンスが1999年に発足した時点から、ルノーと日産の間では地理的な棲み分けが極めて重要で、日産は北米、日本、アジアを、ルノーは北アフリカ、ラテンアメリカ、インド、欧州を担当してきた。欧州にはロシアが含まれ、ルノーは同国で年間50万台を生産。ロシアはルノーにとりフランスに次ぐ2番目の市場となり、アライアンスにおいてルノーが占める比重に大きく貢献してきた。しかし、今後は事態が変わり、ルノーと日産の間の格差が広がる可能性がある。
アライアンス発足時にはルノーと日産の販売数はほぼ同じだったが、20年以上を経て、2021年の販売数は日産が400万台以上、ルノーは300万台と、日産の優位が明確になっている。ルノーがロシアから撤退すれば、自動的に販売数は減る上に、日産の側は、傘下に入った三菱自動車の120万台が加わるだけに、いっそう差は広がる。日産がルノーのほぼ2倍になる見通しだ。
しかも、ルノーは製品ラインナップを全面的に見直し、戦略も変更してルノーリューションを打ち出した矢先だっただけに、ロシア市場の喪失はタイミングが悪い。それに対して日産のほうは、主要市場(米中日)が回復しており、事業は好調だ。それを反映して、日産の株式時価総額は180億ユーロに達しており、これはルノーの3倍近い。
この状況に乗じて日産がルノーの支配下から脱却するのではないかという見方も、決して不自然ではないだろう。