パリ都市圏、地中熱利用に大きな余地

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェストエネルギー・環境レポート

仏当局機関BRGM(地質・鉱山研究局)がパリ首都圏やADEME(省エネ庁)などの協力を得て行った調査によると、パリとその周辺の自治体で構成される「グランパリ」都市圏では、地中熱利用により年間50.94TWhのエネルギーを確保できる余地がある。高温の地下水を利用して、冷暖房や温水生産が行える。この種のエネルギー需要の58%を地中熱により賄える計算になる。現在、都市圏内にこの種の施設は900を数えるのみだが、ガスや灯油を用いるボイラを、地中熱利用の都市冷暖房網に置き換えてゆく余地は大きい。地中熱利用の場合、個別のボーリングを行う費用が大きいことから、都市冷暖房網に施設を接続させて、費用を分散させることで普及を進めることができると考えられる。
エネルギー大手エンジーは、パリ副都心ラデファンス地区に近いラガレンヌコロンブ市に「本社キャンパス」を整備することを決め、2024年の完成予定で工事を進めているが、これは、100%再生可能エネルギーの冷暖房を実現するモデル事業も兼ねている。ここでは地中熱に300万ユーロが投資され、暖房では39%、冷房では29%を地中熱で賄うことになっている。太陽光発電、バイオガス焚きボイラ、蓄電システムを組み合わせて100%再生可能を実現する。