仏政府、高齢者施設運営のオルペア社を提訴へ

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高齢者施設の入居者虐待疑惑で、ブルギニョン自立担当相は26日、施設を運営するオルペア社を司法当局に提訴すると発表した。行政機関による調査の結果を踏まえて、疑いを司法当局に通報することを決めた。
この事件は、オルペア社の施設の内情を暴露する報道本が刊行されたことにより浮上した。この本は、施設が利潤を追求する余りに、人員を十分に配置せず、食費を削り、衛生用品を使い惜しむなどして、入居者をないがしろにした体制を意図的に構築していると糾弾する内容だった。政府はそれを受けて、IGAS(社会問題監察総局)とIGF(財務総局)による調査を実施させており、25日にその結論が政府に提出された。内容は公表されていないが、ブルギニョン自立担当相は、「重大な機能不全」が、人事管理と施設の運営の点で、また財務会計の点で明らかになったと指摘し、司法当局に捜査を求めることにしたと説明している。
オルペア社は民間企業として営利目的で運営されているが、入居者数に応じて、国から一定額の補助金を支給されている。その全額を本来の用途である入居者への食事等には使わずに、過度の節減を通じて一部を着服した疑いや、納入業者にリベートを要求する形でやはり着服した疑いがある。被害額は数百万ユーロに上る可能性があるといい、自立担当相は、調べを経て、着服額の全額の返還を要求すると説明している。