大統領選:マクロン大統領とマリーヌ・ルペン候補の差が縮まる

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大統領選挙の第1回投票が4月10日に行われる。あと2週間に迫ったところで、各種の世論調査は一致して、マクロン大統領と極右RNのマリーヌ・ルペン候補が決選投票に進出する可能性が濃厚であることを示している。マクロン大統領の支持率は、調査により27-29%で、ルペン候補の19.3-21%にかなりの差をつけている。ただし、このところ大統領の支持率は低下傾向にあり、それに対してルペン候補の支持率は全体として上昇する傾向を示している。大統領の場合、公表した選挙公約に不人気な政策(定年年限を65才に引き上げる、生活保障手当RSAの受給者に再就職に向けた「活動」を義務付ける、など)が含まれていることが災いしている可能性もある。選挙戦において表舞台に立つことを大統領が極力控えていることも、浮動票の取り込みにつながらない展開になっている。棄権率がかなり高くなる可能性があり、それだと実際の得票率が振るわなくなるリスクが高まる。
3位には左翼「不服従のフランス」のメランション候補が13-14%で続いており、いずれの調査でも3位の地位を維持している。メランション候補は波乱を起こすべく、左派有権者の掘り起こしに尽力しているが、2位との差はかなり大きい。この後に続くのが右翼のゼムール候補(10-10.9%)と共和党のペクレス候補(10.5-12%)で、順位は調査により異なり、この2人は接戦となっている。ゼムール候補に一時の勢いはない。27日にパリ市内のトロカデロ広場で集会を開いて挽回を狙うが、ここから上に行くためのカードは手元にないように見える。ペクレス候補は新型コロナウイルス陽性となり、リモート方式での選挙戦に切り替えた。「持ってない人」の印象が改めて強まった。