元ラグビー選手射殺事件の容疑者、ハンガリーで逮捕:ウクライナ渡航を計画

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アルゼンチンのラグビー代表チームの選手として活躍したフェデリコ・マルティン・アランブル氏が19日にパリ市内で射殺された事件で、容疑者の男性2人が22日までに逮捕された。いずれも極右系の若者で、うち、ロイク・ルプリオル容疑者は、逃亡先のハンガリーで逮捕された。
マルティン・アランブル氏は19日未明に、パリ右岸のカルティエラタンの街路で射殺された。同氏は数人と連れ立って、深夜営業店で会食していたが、その時に外国人差別的な言動の若者のグループにからまれた。明け方で閉店となり、ガードマンに促されて全員が店舗の外に出た。マルティン・アランブル氏は友人の元ラグビー選手と共に逗留先のホテルに向かったが、その途中で、先ほどのグループの若者らが自動車で戻ってきて被害者を銃撃し、そのまま自動車で逃走した。マルティン・アランブル氏はほぼ即死で、友人は無事だった。
自動車を運転していた24才の女性が逮捕され、続いて銃撃した2人の男性が指名手配された。うち、31才の容疑者はサルト県内で23日に逮捕され、ロイク・ルプリオル容疑者は22日に、ハンガリーとウクライナの国境近くの町で、ハンガリー警察により逮捕された。同容疑者は、ウクライナに戦闘に行くつもりだったと供述しており、乗っていた自動車から戦闘用ナイフ3点が押収された。容疑者の身柄引き渡しの日程などはまだ決まっていない。
ルプリオル容疑者は27才。2011年に海軍学校を卒業後、海軍に入隊した。マリ(2013年)とジブチ(2015年)に派遣された経験があるが、重度の心的外傷後ストレス障害を理由に2015年に帰国。その後、2017年7月に除名されるまで、軍の職務には携わっていなかったという。その一方で、容疑者は極右グループGUDに加わり、暴力的な活動を展開。2015年10月には、GUDの旧指導者に集団暴行を加え、一部始終を撮影するという事件を引き起こした。この事件は後に捜査対象となり、コロナ危機で延期されていた公判が6月に開始される予定となっていた。軍の除名処分もこの事件が明るみに出たことを理由としている。