フランス・テレビジョン、民放とのSVOD「サルト」から撤退へ

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官民のテレビ局が共同運営するSVODプラットフォーム「Salto(サルト)」で、国営フランス・テレビジョンが撤退する方針が固まった。4500万ユーロで民放株主に出資分を売却することで合意した。
サルトは、フランス・テレビジョンと民放大手のTF1及びM6の3社が、3分の1ずつの折半出資により設立した合弁会社。米国勢の大手に共同で対抗することを目的とした提携だった。ただし、その後にTF1とM6が合併計画に乗り出したことから、フランス・テレビジョン側は、少数株主に転じることを嫌い、撤退を申し出た。TF1とM6の合併が成立することが撤退の条件となる。なお、TF1とM6は2023年初頭に合併を成立させることを目指している。
4500万ユーロという売却額は、フランス・テレビジョンにとっても、足が出ない適正価格であるとみられている。TF1とM6にとっては、合併に伴いサルトを完全子会社化することで、デジタル戦略を随意に進める条件が整う。
サルトは出遅れたこともあり、セールス面で伸び悩んでいる。詳しい数字は発表されていないが、フランス・テレビジョンが年頭に明らかにしたところでは、会員数は70万人にとどまる(有料会員なのか、無料期間中の会員を含むのかは未詳)。今後の資本関係がどのようになっても、テコ入れが必要になるのは間違いない。