政府、経済強靭性プランを発表:家計・企業向けに70億ユーロを援助

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カステックス首相は16日、ウクライナ危機を踏まえて策定した「経済強靭性プラン」を発表した。エネルギー価格の高騰に直面する家計と企業を支援する。総額規模は70億ユーロとなり、これを含めて、危機前からエネルギー問題で導入した援助の合計額は300億ユーロ近くに達する。首相は新たなプランを危機に対する第1陣の措置と位置付けており、状況を見て今後に拡大する可能性も示唆している。
プランの中には、一足先に発表済みの措置である、自動車燃料購入に係る一律割引(1リットル当たり15ユーロセント)が含まれる。当初発表と比べて、対象をLPG燃料及びLNG燃料にも拡大し、さらに、漁船向け燃料にも同じ一律割引を適用することにした。4月1日付で施行され、その費用総額は28億ユーロに上る。なお、石油大手トタルエネルジーは、これに加えて1リットル当たり10セントの割引を自社販売網において適用すると発表。政府は他社にも追随を促している。
このほか、企業向けには総額で40億ユーロの追加支援が盛り込まれた。その目玉は、営業損失を被った企業向けの補助金支出で、1社につき最大で2500万ユーロの補填がなされる。電力・ガスの費用がロシアによるウクライナ侵攻後で40%以上の増加を記録し、その費用が売上高の3%以上に相当する企業が対象になる。この措置の規模は30億ユーロ程度と推定されている。このほか、影響が大きい部門(土木建設、畜産、運輸など)を対象にした個別的な支援措置(5億-10億ユーロ規模)が導入される。さらに、新型コロナウイルス危機時に導入された一時帰休制度の適用が延長され、条件も緩和される。公的保証が伴う銀行融資制度の規模の拡大(「売上高の25%まで」を「35%まで」に拡大)、社会保険料の納付期限延期などの措置も導入される。
政府は新たなプランについて、2022年予算法の枠内で対応が可能で、補正予算法を制定する必要は今のところないと説明している。