パリ・ノートルダム寺院の地下から棺など発掘、考古学調査で

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火災後の再建作業が進められているパリのノートルダム寺院で、堂内の地下から人型の棺などが発掘された。今後の調査の行方が注目されている。
発掘は大聖堂の中央に位置する十字交差部の地下で行われた。この部分はちょうど、焼け落ちた尖塔が落下した場所で、敷石を重ねる形で形成された床面が弱っており、ここに再建工事のための足場を組むに先立って地盤を補強する必要があるが、その前に規定により予防考古学調査が行われた。その発掘作業において発見された。
教会はそれ自体が墓所であって、聖職者らが多数埋葬されている。発見された棺は鉛製で、人を模した形になっている。14世紀のものと考えられる。頭部に穴が開いていたため、小型カメラを挿入して内部を探索したところ、頭髪や布地、植物の痕跡(おそらくツゲ)などが確認された。ツゲで遺体を飾る風習は有力者に限定されており、高位聖職者の棺と考えられる。発掘ではこのほか、17世紀に取り換えられる前の内陣仕切り(13世紀以前)の断片が発見されており、取り換え後のもの(現在はルーブル美術館に展示されている)とは異なり、鮮やかな彩色彫刻であったことが判明した。このほか、レーダー調査により、さらに深層には、大聖堂が建立される前のローマ帝国末期のものとみられる城壁があることも確認されている。時間の制約があるため、発掘は3月25日に終了するが、発掘品の分析など調査事業は継続される。