ロシアのウクライナ侵攻開始を受けて、欧州連合(EU)は2月24日夜に緊急会合を開き、対ロシアの追加制裁について基本合意した。25日に正式に決定される。
新たな事態を踏まえて、23日に決めた制裁(要人の査証禁止等)に追加して、第2陣の制裁を決めた。具体的には、▽電子部品、ソフトウェアなどを含む重要技術やデュアルユース品の対ロシア輸出規制を導入する、▽ロシア政府と、重要部門(エネルギー、製油、航空機、銀行など)の企業による資本市場へのアクセスを禁止し、債務のリファイナンスの道を断つ、▽資産凍結・査証禁止・入国禁止の対象となる要人のリストを拡大する、ことを決めた。制裁はベラルーシも対象となる。
欧州連合(EU)では、ポーランドをはじめとする数ヵ国が、より踏み込んだ制裁の導入を求めて働きかけているが、ドイツ、イタリア、ハンガリー、キプロスなどは、「段階的」なアプローチを掲げており、採用された制裁にはその意向が反映された格好になった。「最終兵器」という位置づけの、SWIFT(国際銀行間通信)へのアクセス禁止措置は見送られた。
欧州連合にとっては、エネルギー安全保障の問題が今後の対応における重要なポイントとなる。どの程度踏み込んだ制裁となるかも、この問題に依存する面が大きい。欧州連合はもう一つ、ウクライナ難民の発生という問題も抱えている。既に10万人程度のウクライナ人が避難し、外国に逃れた人は数千人に上るとされている。状況が悪化すれば多数の難民が主に欧州に流れ込むことになる。