漁業資源の調査結果:全体として改善、悪化した種も

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IFREMER(仏海洋資源国立研究所)はこのほど、漁業資源の調査結果を公表した。全体として、漁獲割当等の規制措置の効果もあり、資源の保護状況には改善がみられるが、厳しい状況にある種も多いという結果が得られた。
過剰な漁獲の対象になっている種は、2020年に22となり、20年前の52から大きく減った。良好な状態にある種又は再構築が進んでいる種は15から63へ増えた。全体の56%が「持続可能な漁獲」分類を得た。ただし、改善のペースは2010年以来で鈍化しており、また、欧州連合(EU)が、2020年時点で「持続可能な漁獲」を100%に引き上げることを目標にしていたのを考えると、まだ改善の余地が大きいことになる。
特に、資源の急減を記録している種が、全体の水揚量の10%を占めている。ビスケー湾のイワシと地中海のイワシはともに、小型化して資源量が減っている。北海・ケルト海のタラ、地中海のメルルーサも減少が目立つ。地中海のメルルーサについては、リオン湾で制限区域の設定もなされたが、効果が上がっていない。温暖化の影響も目立っている。北海南部では、水温上昇でタラの生息が次第に困難になっていると考えられ、バレンツ海で資源状況が良好であることがそれを裏付けている。イワシの小型化は、気候変動に伴い食物となるプランクトンが減少したことと関係があるものと考えられている。