会計検査院、財政健全化を勧告

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会計検査院は16日、年次報告書を公表した。国の財政状況の悪化を問題視し、2027年にかけて財政健全化の努力を進めるよう勧告した。4月の大統領選挙を経て発足する次期政権に注文を付けた格好になった。
マクロン政権は、新型コロナウイルス危機において「費用をいとわず」に経済を支援する姿勢で臨んだ。会計検査院は、そうした対応について、経済活動を維持し、将来の経済成長を準備するのに必要だったのは確かだが、財政収支と公的債務を長く圧迫する要因になると警告した。公的債務残高の対GDP比は113.5%まで上昇する見込みで、これは危機直前の2019年末に比べて5600億ユーロ増となる。会計検査院は、新型コロナウイルス危機において、フランスは、イタリア、ベルギー、スペインと並んで、財政状況が大きく悪化した国に入るとし、公的債務残高の高さと、構造的赤字の大きさを問題視した。足元の予算運営では、危機対策を除く支出が、2021年に110億ユーロ弱、2022年にも80億ユーロの増加を記録している点などを指摘。政府が中期計画で予定する、「2027年に財政赤字の対GDP比を3%未満に引き下げ、公的債務残高も減少に転じさせる」という目標の達成は自明ではなく、不十分でもあると指摘。目標の達成には、危機前のペースと比べて、年間90億ユーロの支出抑制努力が追加で必要になると指摘して、次期政権に厳しい努力を求めた。