新人の欧州進出は定説より1万年前=新たな発掘結果

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

仏ローヌ川沿いにある洞窟の発掘調査の結果が、2月9日付の専門誌「サイエンス・アドバンシズ」に発表された。新人と呼ばれる現在の人類が、定説よりもはるかに早く欧州に渡っており、しかも同じ場所で旧人(ネアンデルタール人)と共存していたことを示す証拠が発見された。
発掘は、ドローム県マラタベルヌ市のマンドラン洞窟で行われた。この場所では、12万年前から4万年前までの間の人類の占有の痕跡が発見されている。初期にはネアンデルタール人が、次いで新人が占有したが、発掘の結果、同じ層から、ネアンデルタール人の石器と、新人によるとみられる石器の両方が発見され、さらに、ネアンデルタール人の骨と並行して、新人のものとみられる乳歯が発見された。2-6才の子供のものと考えられている。
これまでは、欧州における最も古い新人の化石は4万4000年前のものだったが、今回発見されたのはそれよりも1万年古い。これまで考えられてきた以上に、新人と旧人が併存している期間が長かったことになる。堆積層を子細に調べた結果、この場所の占有者が、数十年という長さで、ネアンデルタール人から新人に代わり、次いでネアンデルタール人に戻るという交代があったと考えられるという。
ただし、新人の存在の確たる証拠が乳歯1本のみであることから、完全に証明されたとはいえないとみる専門家も多く、専門家の間でしばらく議論が続けられるものとみられる。