オランダの大手銀行INGがフランス事業の売却を計画している件で、仏大手銀行ソシエテジェネラルは1日、買収に向けて独占交渉を開始したと発表した。傘下のネット専業銀行ブルソラマ・バンクに買収事業を統合し、成長の加速を狙う。4月中の合意成立を目指す。
INGは、フランスにおけるオンラインバンキング事業を売却する。銀行口座に加えて、貯蓄口座、生保、株式投資アカウントが売却の対象となる。不動産ローンについてはINGが引き続き維持し、消費ローンについても手元に残す方向で協議が進められているという。ソシエテジェネラルの側で、貸付債権を引き受けて自行の自己資本比率を悪化させたくないという計算が働いていると考えられる。
INGの仏オンラインバンキングの顧客数は100万人に上るが、同行は売却に先立ち、休眠口座や残高が少ない30万程度の顧客を解約とする手続きを進めている。ブルソラマ・バンクは2021年末で330万人の顧客を数え、ネット専業銀行としてフランス最大手。2023年までに400万人の顧客達成を目指しており、INGのポートフォリオを手に入れれば規模を一気に拡大できる。ブルソラマ・バンクはネット専業銀行の競合各社と同様に、黒字化したことがないが、2022-23年頃に黒字化実現を目指している。買収額は公表されていないが、アナリストによると、1億ユーロ程度が妥当な線だという。