ルモンド紙株主構成に変化、独立性確保の新体制に向けて一歩

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大手日刊紙ルモンドの資本構成を巡り、主要株主の一人である実業家のグザビエ・ニエル氏がこのほど、同じく実業家のマチュー・ピガス氏より、残り出資分を買い取ることを決めた。主要株主の出資分を財団の形にまとめて、経営の独立性を保障する新体制への移行に向けて前進した。
現在、ルモンドの株式の72.5%は、持ち株会社のLMLが保有しており、残りの25.4%は従業員及びジャーナリストが出資する団体が保有している。LMLの株式は、27%ずつを、ニエル氏傘下のNJJ社、ピガス氏傘下のLNM社、実業家ピエール・ベルジェ氏(故人)の権利人が保有、残りの20%程度を、スペインのプリサ社(出版・報道)が保有している。ピガス氏は3年ほど前に、LNMの株式の49%をチェコの実業家クレティンスキー氏に売却。何かと黒いイメージもあるクレティンスキー氏が主要新聞への影響力を行使する展望には反発があり、にらみ合いが続いていた。結局、ニエル氏はピガス氏からLNMの49%株式を買い入れる(残り2%はピガス氏が保有)ことで合意が成立。LMLの全体を財団に鞍替えし、ジャーナリストには財団の資本構成変更に拒否権を与えるという形にして、独立性を保つという新体制に移行するためのハードルを一つ越えた。
ニエル、ピガス、ベルジェの3氏は、2010年に、経営難にあったルモンドを救済する目的で合計1億2000万ユーロをルモンドに注入していた。ルモンド紙は現在、年間2000万ユーロ程度のキャッシュフローを達成している。