高齢者介護施設運営のオルペア社、暴露本刊行で批判の的に

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

大手オルペア社が運営する高齢者介護施設の実態を暴く暴露本「墓掘り人たち(Les Fossoyeurs)」の内容が報じられ、物議を醸している。入居者の権利を無視した虐待に近い対応で費用を浮かして利益を上げているとする内容。政府はこれを重く見て、オルペア社に対する調査を実施すると予告した。オルペア社側は、不正行為は一切ないと反論している。ブルギニョン自立担当相はオルペア社のルマーヌCEOを2月1日に呼び出し、説明を求めることを明らかにした。
暴露本はジャーナリストのビクトール・カスタネ氏がまとめた。パリ西郊ヌイイ市にある、オルペア社の中でも高級の施設を対象に、入居者とその家族の証言や、施設の元関係者などへの取材をもとに実態を探る内容となっている。これによると、この施設では、虚偽の申告をして、正社員ではなく臨時雇用を利用する形で人件費を抑制。また、地域圏などから支給される資材の調達費については、全額を投じて納入業者と契約した上で、実際には資材を節約して納入を減らし、その分、業者からリベートを得ていたという。補助金が減らないよう実績を作りつつ、補助金の一部を収入にできる仕組みを作っていた。その裏面として、入居者へのサービスは厳しく制限されており、例えば大人用おむつは1日3枚などという上限が設定され、これが厳守されていた。
報道によれば、この施設は、入居者家族などからの苦情数件があり、2018年には地域圏出先機関のARSが立ち入り調査を実施したが、不正は発見されていなかった。