パリ・グランパレを運営する公的機関RMNグランパレは26日、芸術イベントの開催者を入札により決定し、その結果を発表した。10月開催の現代アートフェア「FIAC」は選から漏れ、アート・バーゼルの開催主体であるスイスのMCHが10月の開催枠を取得した。FIACを開催するRXフランス(英・オランダ籍のRELXの子会社)は、11月開催のパリ・フォト(写真フェア)については開催枠を維持した。契約期間は7年間で、2022年と2023年については、エッフェル塔そばの仮設グランパレにて開催、2024年からは、改修を経て再オープンの本来のグランパレ会場に戻る。改修事業には4億6600万ユーロが投資され、施設は拡張される。
MCHはバーゼルでのアート・バーゼルに加えて、マイアミと香港で「アート・バーゼル」を開催する世界大手。49%株式を保有するジェームズ・マードック氏(ルパート・マードック氏の次男)の下で、コロナ後の事業再興を目指している。RMNグランパレは、去る12月8日に競争入札を開始。従来とは異なる入札方式での事業者決定により、業界は大変動が来ると騒ぎになっていた。FIACは1974年に開始され、パリのギャラリーにとって最大級の重要イベントとなっている。MCHの側では、「アート・バーゼル」のブランド名は使わずに、パリに見合ったアートフェアを開催すると説明しているが、出展料の引き上げにより締め出されることを懸念する業界関係者も多い。半面、コロナ危機を背景に、2021年開催では混乱が目立ったこともあって、大手のMCHが開催に乗り出すことを歓迎する向きもある。