2015年11月のパリ同時テロ時に銃撃を受けて負傷した女性のレントゲン写真を、執刀外科医がオークションサイトに出品していたことが22日までに判明した。勤務先の病院側はこの行為を糾弾し、提訴などを行うことを明らかにした。
問題のレントゲン写真は、骨のそばに機関銃の銃弾が映り込んでいる。NFTアート取引サイトのOpenSeaに2777ドルからという価格設定で出品されているのを、ニュース専門サイト「メディアパルト」が見つけて報道した。
出品したのは、パリのジョルジュポンピドー病院に勤務するエマニュエル・マスムジャン医師で、実名で出品していた。「作品説明」には、「私はこの日、5人の女性の手術を担当した。この若い女性患者は襲撃で恋人を亡くした」などと記していた。この出品は、被害者の女性の承諾を得ることなく行われており、女性はこの事実を知らされ、今後の対応を検討中であるという。
マスムジャン医師はマスコミの取材に対して、人々に意識をもってもらうために「教育的な目的」から出品した、などと釈明。倫理的に問題があるかもしれないとも考えたとし、今から考えると誤りだったかもしれないと言明。金が目的ではなく、第一出品には金がかかったとも述べ、「本当に馬鹿な考えだった」と語っている。
ジョルジュポンピドー病院を傘下におくAP-HPのイルシュCEOは、倫理規定にもとる許しがたい行為だと糾弾。医師会に対して懲罰請求を行い、司法当局にも提訴すると予告した。