食品小売大手Eルクレールのミシェルエドゥアール・ルクレール会長は11日、バゲットパンを29ユーロセントで販売すると発表した。物価上昇の圧力が高まる中で、消費者の購買力を守るために安値の維持に努めるなどと言明した。4ヵ月の期限でひとまず適用するが、会長は、法律の規定により期限を示さなければならないので、目安として示すだけだと説明している。
バゲットパンの全国平均価格は現在、90セントとなっており、Eルクレールの価格は明らかに低い。この発表について、小麦の生産者、製粉業者、ベーカリー、そして農民団体FNSEAは揃ってルクレール会長をポピュリストであると批判。FNSEAは、明らかに原価割れの価格であり、ほかの製品で上げた利益で補填しているのに違いなく、つけを払わされているのは結局は消費者だなどと批判している。
小麦価格はこの1年間で30%上昇している。エネルギー価格の上昇など、コスト上昇の圧力も大きく、個人経営のベーカリーは値上げのタイミングを計り、大手メーカーは価格交渉で引上げを求めて攻勢を強めるという状況だが、ルクレール会長はそうした中であえてこの安値を掲げて、消費者を味方につけて価格交渉を有利に進めることを望んでいるとみられる。