パリ副都心ラデファンス地区、高層ビル「エルミタージュ」建設計画を却下

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パリ副都心のラデファンス地区の開発公団「パリ・ラデファンス」は、地区内で予定されていた高層ビル建設計画「エルミタージュ」を認めないことを決めた。計画主体に対して用地を売却する契約に署名しないことを12月28日に決め、1月3日に発表した。
この計画は、高さ320メートルの2つの高層ビルを建設するという内容で、欧州で最も高いビルとなるはずだった。高級ホテルや高級住宅が整備される予定だった。構想は2007年に遡り、設計は英国の建築家ノーマン・フォスターが担当した。ロシア人実業家エミン・イスケンデロフ氏の発案により、2010年には、開発公団とイスケンデロフ氏の間で合意の調印もなされた。当時のサルコジ政権下ではロシアとの関係改善が進められており、プーチン大統領も起工式に列席すると約束していた。その後、風向きが変わり、開発公団側では、30億ユーロに上る費用のファイナンスが確保されていることが証明されていないことを問題視し、調停を経て合意が結び直された。新たな合意の下での土地売買の期限が2021年年末に設定されていたが、開発公団側は結局、同じ理由により契約を結ばないことを決めた。
建設予定地は、「ダミエ」と呼ばれる高層住宅が集まるセーヌ川沿いの場所で、紆余曲折の末に、住民の立ち退きは完了していた。今後の再開発事業の行方を含めて、計画は白紙に戻った。エルミタージュ社側はこの決定を遺憾としており、新たな異議申し立てを行う姿勢を示している。