仏大手銀行BNPパリバは20日、米リテール銀行子会社のバンク・オブ・ザ・ウェストをカナダのモントリオール銀行(BMO)に売却する合意を結んだと発表した。売却額は163億ドルで、現金で支払われる。当局機関の許可を得た上で、2022年中に売却を完了させる方針。
米国当局がリテールと投資銀行の事業分離を求めて規制を厳しくする中で、シナジー効果が見込めなくなった外国銀行による米リテール業の売却の動きはこの数年で明確になっている。BNPパリバも、2016年から2019年にかけて、米ファーストハワイアン銀行を段階的に売却していた。バンク・オブ・ザ・ウェストの売却でリテール事業からは撤退し、投資銀行事業に専念する。モントリオール銀行とは、北米地域における設備投資ファイナンスとキャッシュマネジメントの販売提携を結ぶことになる。
バンク・オブ・ザ・ウェストはBNPパリバの純益の5%に貢献していたが、163億ドルという売却額は極めて高い。売却益は29億ユーロ程度に上る。BNPパリバは、自社株買いを通じて一部を株主に還元すると予告。目安として、40億ユーロ程度の自社株買いにより、売却に伴う純益の目減りによる1株益減少の影響を中和できると説明した。BNPパリバは70億ユーロ程度を再投資できる見込みで、その用途として、「欧州を中心とした有機的成長の加速」、「技術及び革新的なビジネスモデルへの的を絞った投資」、「高付加価値の事業の的を絞った買収」を挙げた。