ワクチン接種、そろそろ天井か

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新型コロナウイルスワクチンの接種を1回以上受けた人が接種対象人口(12才以上)に占める割合は90%を超えた。全国民比では78%近くに達した。対象者のうち600万人程度がまったく接種していない人となっているが、これらは説得が難しい層とも考えられ、そろそろ限界に近づいた可能性がある。
初回接種者の数は、10月半ば以降では1日当たりで3万人未満となり、12月に入ってからは2万人まで下がった。当局は、未接種者にとっての敷居を下げる工夫に取り組んでいるが、説得は徐々に難しくなっている。
ワクチン未接種者が多い地域としては、フランスの南東部(オーラン県からアリエージュ県までを結ぶ線より南東)が上げられる。都市郊外の恵まれない地区でも未接種者が特に多い。例えばマルセイユ北部では未接種者が全体の44%を占めている。過疎地域においても接種率は低い。概して、社会的・経済的・地理的な理由から医療へのアクセスが困難な地域で接種率は低く、政府に対する反発が根強くある地方でも「反ワクチン派」の勢力が強い。
年齢別でみると、最後に接種対象に追加された12-17才の層で接種率は78.6%と最も低い。18-64才では90%前後、65-74才では94.6%と最も高いが、75才超は91.3%まで下がる。
ワクチン接種が感染と感染の拡大を防ぐ上で果たしている役割は微妙だが、入院と死亡を抑止する効果は明らかにある。保健省の集計によると、11月1日から28日までで、20才以上の非接種者は、20才以上の全人口の9%を占めるに過ぎないが、入院患者の40%、集中治療室の入院患者の51%を占めており、死亡者では39%を占めている。