スイスUBS銀行の脱税幇助事件:控訴審が18億ユーロの支払い命令、大幅減刑に

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スイスUBS銀行を被告人とする脱税幇助事件の控訴審裁判で、パリ高裁は13日、合計18億ユーロの支払いをスイスUBS銀行に求める有罪判決を言い渡した。第1審の45億ユーロと比べて著しい減刑となった。
事件は2004年から2012年にかけて発生。スイスUBS銀行は、フランス国内の資産家を対象に、スイス国内に銀行口座を開くことを勧誘し、脱税に手を貸していた容疑で、フランス子会社などとともに起訴された。第1審判決では45億ユーロという記録的な罰金刑判決が下り、被告人側が控訴していた。第1審判決は、脱税額に依拠して巨額の罰金額を算出しており、脱税幇助としては初めての判例となったが、パリ高裁は、将来的に脱税となるかどうかを勧誘時に把握できるはずがないとする銀行側の主張に理解を示し、法律が定める定額式の罰金刑を適用することを決定。罰金額はわずか375万ユーロに削減された。ただし、違法行為の責任を重く見て、高裁は、供託金10億ユーロを没収扱いとすることを決定。また、8億ユーロの賠償金を国に対して支払うよう、UBS銀行に命じた。合計で18億ユーロ強の支払いとなる。
高裁は、UBS銀行のフランス子会社については、脱税幇助については無罪とし、違法な勧誘行為について187万5000ユーロの罰金刑を言い渡した。第1審の1500万ユーロからやはり大幅な減刑となった。また、同じく起訴された6人の元管理職のうち、4人に最高で30万ユーロの罰金刑が言い渡された。
被告人らは5日以内に上告することができる。