マクロン大統領は3日と4日の両日、湾岸諸国を歴訪した。
ドバイ首長国連邦では、総額170億ユーロの航空機調達の契約が結ばれた。ダッソー社製のラファール戦闘機80機と、エアバス・ヘリコプターズ社製のヘリコプター「カラカル」12機が供給される。ラファールの輸出契約としては過去最大の規模となった。アラブ首長国連邦は、ラファールにより、1998年に導入したミラージュ戦闘機60機を後継する。2027年から2031年にかけて引き渡される予定。この契約について、保守野党陣営は歓迎するコメントを発表しているが、環境政党EELVのジャド大統領候補は、富が化石エネルギーに由来する強権的な国家への武器輸出は恥ずべきことだと批判している。
マクロン大統領は4日には、サウジアラビアのジッダを訪問し、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談した。これより前、サウジアラビアとレバノンの関係が悪化していたが、今回の会談の機会に、マクロン大統領とムハンマド皇太子は揃ってレバノンのミカティ首相と電話で会談し、関係修復に着手する方針を確認した。レバノンのコルダニ情報相が、サウジ主導のイエメン軍事介入を批判したことがきっかけとなり、両国の関係は悪化していたが、コルダニ情報相は3日に辞任を発表していた。マクロン大統領は、サウジのムハンマド皇太子との会談に応じることで、この問題を含めて中東外交で成果を上げることに努め、ムハンマド皇太子が、サウジのジャーナリストがトルコのサウジ大使館で暗殺された事件において直接の責任を追及されており、事件があった2018年以来では皇太子と会談した西側の首脳がほとんどない中で、あえて直接会談に踏み切った。これにはフランス国内にも批判的な声が上がっている。
なお、この訪問の機会にも、一連の契約が結ばれた。エアバス・ヘリコプターズによる26機のヘリコプター輸出契約、CFMインターナショナル(仏サフランと米GEの合弁会社)によるエアバスA320用のエンジン受注(正規価格で125億ドル相当)、仏ヴェオリア(環境サービス)によるリヤド都市圏の上下水道契約(7年契約、年間収入は8260万ユーロ)で調印がなされた。